葡萄の耐病性品種
メゾン・レミーマルタンは、シャラント県の葡萄栽培を継続的により良い方向へと導いています。
「目標は、この地にユニ・ブランの代替を提供することです」
コニャック協会(BNIC)とフランス国立農業食料環境研究所(INRAE)は、品種開発や葡萄の耐病性品種などの長期的な解決策を見出すため、過去15年にわたって研究を行っています。コニャック部門の優先すべき目標を達成するための大切なツールです。毎年頻発する葡萄の病気(べと病、うどん粉病)に耐性がある新品種は、自然交配によって作り、環境的エクセレンスを導く開発の主要な原動力となります。
レミーマルタンのドメーヌは、広大な試験用区画(約1ヘクタール)を提供し、未来の農業条件に合致する4つの新品種を植え付けています。ここでの課題は、広範な規模での耐病性の持続、 コニャックの呼称 に相応しいワインおよびオー・ド・ヴィーの安定性を保証することです。この地域的アプローチは、INRAEが主導する葡萄の耐病性品種導入のための国立観測所(OsCaR)プログラムの一環として実施しています。
ローラン・デリエール
調査エンジニア, 国立農業食料環境研究所 (INRAE) ボルドー
新しいテクノロジー
メゾン・レミーマルタンは、試験区画にて革新技術を最大限に活用することで、葡萄畑を評価してその知識を増やすとともに、慣行を調整しています。
「今日では、葡萄栽培の慣行と方法においては、より高い精度が求められます」
高精度の葡萄栽培がこの数年で進化しています。特に、センサーを導入したことで、葡萄の木や実から直接測定を行うようになりました。これらの新しいツールは、技術面(農耕面)、経済面、環境面から葡萄栽培のパフォーマンスを向上させることを狙いとしています。
レミーマルタンは、2017年より約10ヘクタールの区画において、NDVI(正規化差植生指数)測定などにより、地域における草分け的な取り組みを主導しています。センサーにより、植物の活力をセンチ単位の精度で評価し、区画の不均一性を極めて高精度で把握できます。
これらのデータは、確かな意思決定支援ツールの開発基盤となります。さらに、flavescence dorée(黄化症)などによる病害を検出するための画像分析に基づく区画スケールの正確なマッピングを行うシステムの開発にも取り組んでいます。土壌については、機械的除草のためのロボット化も代替策としてレミーマルタン・ドメーヌの試験区画で実験中です。このロボット*は、土壌維持の新たな代替手段となります。
生物多様性の促進:冬の間作
緑肥のための冬の間作は、シャラント県の葡萄畑では依然として稀です。しかし、これは農耕面、経済面、環境面で大きな利益を秘めた方法です。
「冬の間作は、生産性と環境保護に同時に貢献するものです」
メゾン・レミーマルタンは、2014年よりシャラント県の農業会議所との連携で、ドメーヌにて様々な苗(単種または複数種)をテストしています。
その目標は、グランド・シャンパーニュとプティット・シャンパーニュの土壌にとって最も有益な間作物を特定するとともに、最適な維持方法を決定することです。初期研究の結果、構造的な土壌改善と窒素含量が示されました。
9月と4月の間に間作を行うことで、秋と冬に作物を育て、土壌を排水から保護できます。
また、根系の機構的働きによって土壌の構造が改善される利益もあります。
これらの間作物は、花が稀薄になる時期に送粉虫に活動場所を与えることで、葡萄の休耕期間にバイオマスを生成し、生物多様性を回復させます。これらの間作物は、葡萄の木が育ち始める前にすき込んで土壌に有機物を含ませ、自然肥料とします。
生物多様性を促進するため、メゾンの区画で他にも様々な技術をテストしています。例えば、タマゴコバチ類を放虫することで、葡萄に被害をもたらす害虫(ハマキガ)を抑制し、ミツバチのために生け垣や花畑を育てています。